【プロ直伝】着物の着崩れを防ぐコツとトラブル対処法

着物は日本の伝統的な衣装であり、その優雅さと美しさから、成人式や結婚式、茶道、七五三といった特別な行事でよく着られます。

しかし、着物は洋服とは異なり、長時間着ていると「着崩れ」が起こりやすく、動きにくさや不安を感じることも少なくありません。

そこで、今回は着崩れの原因や防ぐための具体的なコツ、そして着崩れが起こった場合の対処法を、プロの目線から徹底解説します。

1. 着崩れとは?基本的な理解を深めよう

着崩れの定義

「着崩れ」とは、着物を着ているうちに形が崩れたり、帯や襟がズレたりして見た目が整わなくなることを指します。

着物は、洋服のようにボタンやファスナーで固定されるものではなく、布を巻きつけて帯で締めるという構造上、動いたり時間が経過したりする中で崩れやすい特徴があります。

着崩れが起こる理由

着崩れの主な原因は、次のようなものが挙げられます。

  • 締め付けの不均衡:着物や帯をきちんと締め付けずに着付けを行うと、着用中に緩んでしまい、形が崩れてしまうことがあります。

  • 動作:歩いたり、座ったり、立ったりといった日常の動作が、着物の布や帯に影響を与え、崩れやすくなります。

  • 素材:着物や帯の素材によっては滑りやすかったり、摩擦が少なかったりすることが、崩れの原因になります。

2. 着崩れを防ぐ基本の着付けポイント

着崩れを防ぐための基本は、最初の着付けでしっかりと形を整え、適切な場所で適度に締めることです。

以下に、着付けの基本ポイントを説明します。

2-1. 長襦袢の着付け

長襦袢(ながじゅばん)は着物の下に着る下着で、肌に直接触れるものです。

この長襦袢がズレたりシワになったりすると、着物自体も崩れやすくなります。

  • 背中心をしっかり合わせる:襦袢の背中心が体の中心からずれると、着物も崩れやすくなります。背中の線を意識して、左右のバランスを取ることが重要です。

  • 腰紐の結び方:腰紐はしっかりと結び、崩れにくいようにしますが、きつく結びすぎると呼吸が苦しくなるので、適度な強さで締めます。

2-2. 着物の着付け

次に、着物の着付けに移ります。

着物の着付けも、長襦袢と同様に丁寧に行うことがポイントです。

  • 襟合わせ:襟元がずれてしまうと、全体的にだらしない印象になります。前襟をしっかりと引っ張り、鎖骨の下あたりで美しく合わせましょう。

  • 腰紐で固定:着物の腰回りを安定させるためには、腰紐をしっかり締めることが重要です。このとき、帯よりも下の部分をしっかりと固定しておくと、着崩れしにくくなります。

  • おはしょりの調整:おはしょり(着物の裾を上げてできる余り布)は、左右の長さが均等で、しわがないように整えておくことがポイントです。ここが乱れると、全体が崩れて見えます。

2-3. 帯の結び方

帯は着物の中でも最も目立つ部分であり、しっかりと結ばれていないとすぐに崩れてしまいます。

  • 帯をしっかり締める:帯が緩いと着物全体がずれてしまうため、最初にしっかりと帯を締めることが重要です。特に、お太鼓結びや文庫結びの場合、結び目を固めにすることで、崩れにくくなります。

  • 伊達締めの使用:伊達締めは着物や帯を安定させるための補助具で、これを使用すると形が崩れにくくなります。帯の上からしっかり巻くことで、帯の位置を固定できます。

3. 動きやすさを確保するためのコツ

着物を着ていると、動きにくさを感じることがあります。

特に立ち座りの動作や歩くときに、着物が崩れてしまうことが多いです。動きやすさを確保しながら着崩れを防ぐためのコツをいくつか紹介します。

3-1. 裾捌き(すそさばき)の練習

着物の裾が長く、歩くときに足に絡むことがあります。このときに着物が乱れやすいので、裾捌きの練習をしておきましょう。

  • 歩くときは小股で:着物を着ているときは、大きな歩幅ではなく、小股で歩くように心がけます。そうすることで、着物が足に引っかかりにくくなり、裾も乱れにくいです。

  • 階段では裾を持つ:階段の上り下りでは、着物の裾を少し手で持ち上げることで、裾が踏まれて崩れるのを防ぎます。

3-2. 正しい立ち座りの動作

立ったり座ったりする動作は、着物に大きな負担がかかる瞬間です。

このときに適切な動作を意識することで、着崩れを防ぐことができます。

  • 座るときは背筋を伸ばして:着物を着たまま座る際は、背筋を伸ばして椅子や座布団にゆっくりと腰掛けるようにします。勢いよく座ると、着物が崩れる原因になります。

  • 座る前に裾を整える:椅子に座る前に、着物の裾を軽く持ち上げてから座ると、着物がシワになりにくく、崩れを防ぐことができます。

3-3. 帯を押さえながら回転する

着物を着ているときに振り向いたり、方向を変えたりすると、帯や襟がずれてしまうことがあります。

このとき、帯を軽く押さえながら動作することで、着崩れを防ぐことができます。

  • 体をひねる動作はゆっくりと:急激な動作は着物が崩れやすいので、特に体をひねる動作はゆっくり行いましょう。

4. 着崩れしてしまったときのトラブル対処法

いくら気をつけていても、着物が着崩れてしまうことはあります。

そんなときは焦らずに、次のような対処法を覚えておくと便利です。

4-1. 襟が開いてしまった場合

襟がずれてしまい、胸元がだらしなくなってしまうことがあります。この場合、以下の方法で襟を整えましょう。

  • 襟元を軽く引っ張る:着物の前襟を軽く引っ張り、左右対称になるように整えます。その際、長襦袢の襟も確認して、整えておきます。

  • 伊達締めを締め直す:襟が崩れる原因として、伊達締めが緩くなっていることがあります。着付けの時に使用していた伊達締めを一度緩めてから、しっかり締め直しましょう。

4-2. 帯が緩んでしまった場合

帯が緩んでしまうと、着物全体が崩れてしまうので、早めに対処しましょう。

  • 帯揚げや帯締めで固定する:帯の結び目が緩んでいる場合、帯揚げや帯締めを使ってしっかりと結び直します。帯揚げや帯締めは、帯の位置を安定させるために役立つアイテムです。

  • 応急処置としてピンを使う:急いでいる場合は、着物の布や帯をピンで固定することで、応急処置ができます。

4-3. おはしょりが乱れた場合

おはしょりが崩れてしまうと、全体のバランスが崩れて見えてしまいます。

  • おはしょりを引っ張って整える:着物の腰部分を軽く引っ張りながら、おはしょりのシワや乱れを整えます。鏡を見て左右が均等か確認しながら調整します。

5. 着崩れ防止に役立つアイテム

着物を着崩れさせないための便利アイテムも多数存在します。

これらを上手に活用すると、より安心して着物を楽しむことができます。

5-1. 着物クリップ

着物クリップは、着付けの際に布を仮留めするための道具です。襟や袖など、手が離せない場所を一時的に固定できるので、着付けの途中で布がずれてしまうことを防げます。

5-2. コーリンベルト

コーリンベルトは、襟元が崩れにくくなるアイテムで、長襦袢と着物を一緒に固定して着崩れを防ぎます。特に動きが多いときや長時間着物を着る場合におすすめです。

5-3. 腰紐や伊達締め

腰紐や伊達締めは、着物の要所を固定するための重要なアイテムです。適切な位置にしっかりと締めることで、着崩れを防ぐ効果があります。これらは、余分に持っておくと安心です。

6. 着物の着崩れの対処法まとめ

着物の着崩れを防ぐためには、最初の着付けの段階でしっかりと布を整え、適切な位置で締め付けることが大切です。

また、動作や歩き方に気をつけることで、着崩れを予防することができます。

それでも着崩れが起こった場合には、焦らずに今回紹介した対処法を試してみてください。

着物は手間がかかる一方で、その美しさや着心地を楽しむことができます。

この記事で紹介したコツや対処法を活用し、安心して着物を楽しんでください。

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