〜大切な一枚を次世代まで美しく〜
着物は、日本の伝統美が凝縮された特別な衣服。
しかしながら、正しく保管しなければ、カビ・シミ・変色といったダメージによって、わずか数年で着られなくなってしまうこともあります。
「お気に入りの着物がカビだらけに……」
「次のシーズンにはもう着られないかも?」
そんな残念な事態を避けるためにも、この記事では、着物のカビやシミを防ぎ、長く美しく保つための収納術を徹底解説します。
着物好きのあなたにこそ知ってほしい、正しい知識と実践テクニックを紹介します。
目次
- 着物にカビやシミができる原因とは?
- 着物の大敵「湿気」との付き合い方
- 着物の正しい収納場所と保管条件
- カビ・シミを防ぐ収納アイテムの選び方
- 季節ごとの収納メンテナンスポイント
- もしカビやシミができてしまったら?対処法まとめ
- 長持ちさせるための習慣&プロの技
- 着物を長持ちさせるための収納術まとめ
1. 着物にカビやシミができる原因とは?

着物がダメージを受ける主な原因は、以下の3つです。
◇ 原因①:湿気
湿気は、カビ発生の最大要因です。とくに絹素材の着物は水分を吸いやすく、通気性の悪い場所に長期間保管されると、すぐにカビが生えてしまいます。
◇ 原因②:皮脂・汗・香水などの汚れ
着物を着たあとに汗や皮脂が付着していると、そこから時間とともに黄ばみ・黒ずみ・シミが発生します。帯まわりや襟、袖口などが特に注意ポイントです。
◇ 原因③:光(紫外線)やホコリ
直射日光は色あせや生地の劣化を招きます。さらに、ホコリは湿気を吸いやすく、そこからカビの温床になってしまうことも。
2. 着物の大敵「湿気」との付き合い方

◇ 適切な湿度管理がカギ!
着物にとって理想的な湿度は40〜60%。これを超えるとカビのリスクが急上昇します。
◇ 湿気対策の基本
- 晴れた日に虫干し(風通しの良い室内で半日干す)
- 除湿剤や乾燥剤を活用(市販のシリカゲルなど)
- 押し入れ・クローゼットの換気を定期的に行う
- 衣装ケースに除湿シートを敷くのも効果的
3. 着物の正しい収納場所と保管条件

着物を収納する場所は、温度・湿度・光の3つを意識して選びましょう。
条件 | 理想的な状態 |
温度 | 10〜20度前後(急激な温度変化はNG) |
湿度 | 40〜60%(除湿器や除湿剤を併用) |
光 | 直射日光を避け、暗所に保管 |
通気性 | 風通しがよく密閉されすぎない空間 |
◇ オススメの収納場所
- 押し入れの上段(下段は湿気がこもりやすい)
- 桐たんす(湿度調整機能が高い)
- 衣装箱+除湿シート+乾燥剤の組み合わせ
4. カビ・シミを防ぐ収納アイテムの選び方

着物を長く美しく保つには、収納アイテム選びも非常に重要です。
◇ 必須アイテム一覧
アイテム | 用途・ポイント |
たとう紙 | 着物の通気性と型崩れ防止。2〜3年で交換が理想。 |
除湿剤 | シリカゲルや炭タイプが◎。こまめに交換を。 |
防虫剤 | 無臭タイプを選ぶ。着物に直接触れないよう注意。 |
桐たんす | 湿気を自然に吸収・放出してくれる伝統の収納家具。 |
不織布カバー | 通気性を保ちつつ、ホコリをブロック。 |
※ビニール袋や密閉袋はNG!湿気がこもってカビの温床になります。
5. 季節ごとの収納メンテナンスポイント

日本は四季があり、気温・湿度が大きく変化します。
季節ごとの収納チェックも重要なカビ・シミ対策です。
◇ 春(3月〜5月)
- 花粉やホコリが多い時期。着物カバーの見直しを。
- 梅雨前に虫干しするのがオススメ。
◇ 梅雨〜夏(6月〜9月)
- カビの繁殖期。月1回は収納場所の湿度チェック。
- 着物を1枚ずつ陰干しして湿気を飛ばす。
◇ 秋(10月〜11月)
- 気温が安定する時期。虫干しやクリーニングに最適。
- たとう紙や除湿剤の交換を。
◇ 冬(12月〜2月)
- 空気が乾燥するため安心しがちですが、結露による湿気に注意。
- 暖房での急激な温度変化がある部屋は避ける。
6. もしカビやシミができてしまったら?対処法まとめ
◇ 軽度のカビ(白いふわふわ)なら…
- 乾いた布で優しく拭き取り
- 陰干しでしっかり乾燥
- 防カビスプレーでケア(※使用前に目立たない場所でテスト)
◇ シミや変色がある場合
- 自力での処理は避け、着物専門のクリーニング店へ相談しましょう。
- 黄ばみや黒ずみは、専門技術の「しみ抜き」が必要です。
カビが繊維内部にまで入り込んでいる場合、完全に除去するのは困難なことも。
早期発見・早期対処が鍵です。
7. 長持ちさせるための習慣&プロの技
着物を美しく保つには「収納前のひと手間」が重要です。
◇ 着たあとは…
- すぐにたたまず、1日陰干しして湿気をとる
- 汚れや汗が気になる場合は、クリーニングまたは汗抜き
- たとう紙に包み、防虫・除湿剤をセットして収納
◇ プロの技:年に1度の「虫干し」がおすすめ!
「虫干し(むしぼし)」とは、着物を風通しのよい場所で陰干しして、湿気と虫を防ぐ昔ながらのメンテナンス。
- 秋〜冬(10月〜2月)に実施するのがベスト
- 半日程度、広げて陰干しすればOK
- 風が通る時間帯に実施(湿度が低い朝〜昼)
8. 着物を長持ちさせるための収納術まとめ
着物は、ただ「衣類」としてではなく、文化・思い出・美意識をまとう存在です。
カビやシミで傷んでしまえば、それだけで価値が損なわれてしまいます。
だからこそ、日々の収納・メンテナンスは、「着物を大切に思う心」のあらわれです。
収納のちょっとした工夫と、季節ごとのケアを続けることで、着物は10年、20年、あるいは親子三代で受け継がれる“宝物”になります。
ぜひこの記事を参考に、あなたの大切な着物を永く、美しく保つ収納生活を始めてみてください。
(記事制作者:廣田 )
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